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感動を呼び戻すもの

 先日、叔母が教えている体操教室の発表会があり、私はカメラマンとしてお手伝いする機会がありました。体操教室と言ってもストレッチだけでなく、社交ダンスやジャズダンス、盆踊りやフラなども少しずつ教えてくれるような面白い教室です。

 叔母は私が物心ついた時からこの教室をしています。スタートは自分の身体と病弱だった従姉のためでした。それが、時間を経て形を変えながらこの年まで続けているのは凄いことだなと思います。

 教室の発表会は定期的に開催されており、昔は舞台のある会場を借りてしていたのですが、今は何と老人介護施設が発表会の舞台となっています。祖母が入所している施設で、叔母の活動を知った施設の人が声を掛けてこられたのがきっかけで、計画され、一度きりの予定が毎年のように呼んで頂くようになりました。

 叔母は根っからの舞台好き。特に宝塚が大好きで、舞台の構成や演出を考えるのがとても上手いのです。叔母は、祖母だけでなく外に出かけられない入所者の人達に少しでも舞台を見たり、非日常の感覚を味わって欲しいと、和や洋の音楽やダンスの構成を考え、教室の生徒さんだけでなく、私の母や従姉なども交えて発表するのです。

 ただ、踊ると言っても生徒さん達もなかなかのお年で、中には入所者さんより高齢の方もいます。それでも、元気を分ける側に立つということは凄いなと思います。

 しかし、私は最初ある意味素人の人の発表会を見て楽しいのだろうか?と思っていました。蓋を開けてみると、入所者さん達は手拍子をしたり、普段は無反応の人が反応したり笑顔になったりと、とても素敵な場になっているなと肌で感じました。

 中でも、終わってからあるおじいさんがその日の感想を聞かれた時に涙を流しながら「涙で感想が言えまへん」と言うのを聞いて、演者さんや私までが涙するという、とても感動的なシーンがありました。発表会の為に、半年以上をかけて皆さん練習されているのですが、やはりそこは人間。人間関係など、その間いろいろあったようでしたが、その一言でいろいろな苦労報われたと叔母も母も言っていました。

 利用者さん方は音楽やダンスや演者さんのエネルギーに触発され、忘れていたものを思い出すように感化されてゆく。そして、感動を与える側も、逆に感動を貰って帰る。こんなことってあるんだなと思いました。プロのように凄い技術は持っていなくても、心を込めて一生懸命にすれば、やがてそれは空間を通じて伝わり、拡がってゆくのだと思いました。

 横田先生は感性を磨くには、感動体験をすることが大切とよくおっしゃっています。それには小さなことも感動出来る心の持ち方と、様々な体験が出来る行動力が大切なんじゃないかと思いました。今回、思いもよらずこの様な感動体験をさせて貰えたことは有難いなと思うのと同時に、いつか私も感動を与えられる側にもなれたらいいなと思いました。

 

(40代・女性)

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